看護師や医師、理学療法士などの医療系の資格を持っている人が医療施設から介護施設に転職することがあるが、老人ホームに勤め始めると仕事に戸惑いを感じることがよくある。医療現場ではプロトコル化が進められていて、大半の作業はルーチンで行えるのが一般的だ。
しかし、老人ホームでは書類作成などの作業やスケジュールについては定められているものの、高齢者への対応についてはプロトコルもマニュアルもない。ガイドラインが定められていたり、必要な仕事内容が与えられていたりするだけで具体的な方法までは定型化されていないのだ。
プロトコルに従って均質な対応をすることが求められていた現場から、個別化した対応をしなければならない現場に突然切り替わったことで困ってしまうのが医療系から介護系への転職ではよくある。基本的には医療系の資格を持っているとその職能に応じた仕事を中心に行うことになるが、忙しい現場では身体介助などの手伝いをすることも多く、柔軟な対応力も求められるのが通常だ。
個別化が求められると自分の判断でやるべきことを考えなければならず、一つ一つの仕事に責任が重くなるだろう。それが老人ホームで働き始めたときには心労になりやすいものの、慣れてくると職能を発揮して働けることにやりがいが生まれる。
最初のうちは何をすべきかわからずに途方にくれてしまいがちだが、現場慣れすると活躍できることに気づくのだ。